先物とは? (1)

これから何回かに分けて、米国株価指数先物とそのオプションを理解するための基本事項を説明したいと思う。

そもそも先物(Futures)とは何か?先物とは、未来の決まった期日に決まった何か(原資産)を受け渡す契約のことだ。

このような契約は当事者同士が直接交渉して結ぶこともできる。これを先渡し(Forward)という。先物は、契約内容を標準化し、多数の参加者が市場で自由に売買できるようにしたものだ。これによって先渡しにはない流動性が生まれる。つまり、好きな時に自由に売買できる。実際、先物を契約期限まで持つことはほとんどなく、期限前に買いポジションは売り、売りポジションは買い戻して手仕舞いしてしまう。

原資産には、農畜産物、石油、金属から金融商品まで多種多様なものがある。例えば、CME(シカゴ商品取引所)で取引されているCLという先物は、アメリカで生産される原油(WTI)を原資産とする先物で、契約期限は、10年先まで毎月用意されている。このCL1枚につき1000バレルの原油を受け渡す契約となる。

CLM19なら2019年6月限(=契約期限)のCLだ。最終取引日は5月21日。原資産の受け渡しに興味のないほとんどの参加者は、その数日前(roll over date)にはポジションをクローズして、必要なら代わりに先の契約をオープンする(これをroll overという)。5月21日を過ぎてもポジションを持っているものには、契約を履行する義務が発生する。

先物の買い手には、契約に従って原資産が手渡される。どこからその原資産がやって来るかというともちろん、先物の売り手からである。ここだけ見ると、ふつうに買い物客が店で買い物をするのと変わらない。買い手が代金を売り手(店)に払い、代わりにモノを受け取る。ただ先物の場合は、値段を何ヶ月(or 何年)も前に決めておける(決めておくだけで、モノを受け取るまで実際に払う必要はない)というだけだ。ただし、実際のお金の動きは複雑なので、次回もう少し詳しく見てみる。

さて上に述べたように、先物は市場で取引される。一つの取引には必ず売り手と買い手が存在するが、実際の契約が両者の間で結ばれるわけではない。必ず市場(取引所)が間に入り、売り手は市場から買い、買い手は市場に売るという形になる(これによって、相手の破産など(counter-party risk)を心配する必要がなくなる)。最終取引日が過ぎた時点で、取引所は残った売り手と買い手のマッチングをし、当事者に通知する。そこで初めて誰が誰にモノを手渡すかが判明するのである。

手渡しの具体的な手順は、取引所のルールに詳しく書かれている。例えば、CLの場合はこれ。売り手がルールの範囲内で引き渡し条件を指定する。まず手渡し日は、契約月の初日から最終日までの間。つまり、CLM9であれば、6/1から6/30までの間となる(因みに土日がダメとは特に書いてない)。手渡し場所は、オクラホマ州クッシングのパイプライン/貯蔵施設。手渡し方法は専門用語でよく意味が分からないが、パイプラインで流し込むのが一般的のようだ。さらに、原油と言っても硫黄の含有量やら粘度、密度と色々グレードがあるので、その辺のスペックも細かく規定されている。

先物に投資するファンドは原資産そのものの取引には興味がないし、実際のユーザー(例えば、原油を消費する製油所など)であっても先物契約で引き渡されるものが自分のニーズに合っているとは限らない。結果として、実際に引き渡しが行われるケースはまれである。しかし、契約がきちんと履行され、そう望めばきちんと引き渡しが行われる、という可能性が現実になければ先物は成立しない。それは、先物の価格がどうやって決まるのかという話に関連する。[以下続く]